お薬が苦手であったり抵抗がある方は漢方薬中心の対応も可能です。ご相談ください。
ゆううつ感、眠れない、食事を美味しく感じられない、疲労感、集中力の減退、落ち着かないなどの症状が一日中、2週間以上続くようであればうつ病の疑いがあります。脳内の神経伝達物質の低下により抑うつ症状が生じている場合、気のもちようで治るものではありません。休養を取ったり生活リズムの調整を行ったりするほか、薬物療法、心理療法を組み合わせた治療を行います。
双極性障害は、うつ状態と躁状態という2つの状態が現れるのが特徴です。うつ状態では抑うつ症状を認める一方、躁状態では気分が高揚する、多弁になる、浪費する、尊大な態度を取る、睡眠時間が少なくても平気でいる、怒りっぽいなど周囲にもわかりやすく、他人とトラブルを起こす場合もあります。治療にあたっては、薬物療法と並行して未然に躁状態になるのを防ぐためのご自分の病気の受容、規則正しい生活リズムの維持、躁転しやすい状況を意識的に回避するなども重要となります。
躁状態が明確な双極I障害とはタイプの異なる双極II型障害が注目されています。双極II型障害では、躁状態は軽症のため、ご本人も周囲も気分の波のあることに気づいていない場合も少なくありません。
大勢の人の前で話したり、初めての状況に挑戦したりするときに不安を感じるのは当然の反応です。ある程度の不安は適応的であり、それにより潜在的な危険に対して適切に注意を払うこともできます。しかし不安や心配が過度になり、日常生活に大きく影響を及ぼすレベルとなると、不安症(不安障害)と診断されます。
不安症(不安障害)の中には、「死んでしまうのではないか」と思うほどに強く動悸・呼吸困難感・発汗のような身体症状が発生するパニック障害があります。パニック障害はそのような発作だけでなく「発作が起きたらどうしよう」と予期不安に襲われ、外出などの日常生活への極端な制限があることも特徴的な症状です。
パニック障害の治療は大きく薬物療法と心理療法の2つがあり、この両者を併用すると治療効果が高まるといわれています。まずは、薬物療法によりパニック発作を軽減させ、日常生活上の外出制限といった機能障害を緩和させ、その後、心理療法を併用し、症状の改善と再発予防を図ります。症状を悪化させる睡眠不足や疲労、アルコールやカフェインの取り過ぎなどの生活習慣改善もめざします。
熟睡することができず充分な休養を取ることができない、または逆に睡眠し過ぎてしまうなど、睡眠にまつわる症状が長く続く状態を不眠症や睡眠障害といいます。原因はうつ病などの他の病気であることもありますが、ストレスなどの心の問題、生活リズムの乱れ、就寝する環境、飲酒や喫煙などさまざま。睡眠時無呼吸症候群が隠れている場合は、精密検査と加療のために適切な医療機関へご紹介いたします。
最近では、「大人の発達障がい」とも呼ばれる神経発達症。多くの場合は幼少期に診断されますが、うまく周囲とコミュニケーションを取れない、発達障がいかもしれないといったきっかけで見つかることも多いです。うつ病や適応障害などの二次的な精神障害が起こって初めて診断されることも多くなっています。神経発達症には、自閉スペクトラム症、ADHD、限局性学習症(学習障がい)などがあります。ただし、その在り方は個人差が大きいため、それぞれに合わせた対処方法(環境調整などを含む社会心理療法、ソーシャルサポート、症状の緩和を目的とした薬物療法など)が必要です。
自律神経失調症とは、過度の緊張や疲労、ホルモンバランスの不調などにより、交感神経と副交感神経のバランスが崩れて起こる症状です。自律神経は、その時々の体の状況に応じて自動的に作動し、体内を恒常的な状態に保ち続ける神経です。たとえば、暑いときに汗をかいて体温の上昇を抑えるなども自律神経の働きがあるからです。自律神経には交感神経と副交感神経の2つがあり、それぞれ相反する機能を持っています。
自律神経の失調症状は、うつ病、不安症などのさまざまな精神障害に付随して認められます。慢性的な疲労、だるさ、めまい、動悸といった身体的な症状のほか、いらいら、不安感などの精神的な症状として現れることもあります。自律神経失調症の治療には症状を抑えるための対症療法と併せて心理的な背景要因に対する心理・精神療法を検討します。対症療法で症状が軽減されるだけでも、症状から来るストレスが緩和されるなどポジティブな循環が生まれることは少なくありません。